FRPタンク配管用継ぎ手の取り付け方法
燃料タンクをFRPで自作するとき、一番重要なのが配管です。
金属製と比べて嫌がる人が多い理由のひとつに燃料漏れがあげられます。
鉄やステンレス、アルミだと溶接、ロウ付け最悪半田付けで応急処置も可能です。
作業もほとんどが職人に依頼するか溶接経験者が自作するので、
漏れるような仕事はしないでしょう。
短所は海水による腐食と重量、切断機や溶接機を持っていないこと。
そこでFRPの材料、道具の揃えやすさ。
海水で錆びることはなく、金属より軽量にできる等。
そこへ目を向けるのもうなずけます。
この記事では、これを守って作業すれば 液漏れなく確実な方法を紹介します。
タンクの大きさや形状は多様なので繋ぎ手も妥当なサイズのものを入手してください。
大きくなるほどびっくりする値段になります。
燃料をエンジンに送るため船内に据え付けるタンクは底に近いほうへ穴をあけてニップルやバルブ、ゴムホースなどでつなぎます。
上はホースを差し込んで使えるニップルですが、
右のコックをつなぐときはねじを切ってるものを選びます。
蛇口のようにダイヤルをまわすのではなく、
ボールジョイントとレバーをひねるだけで開け閉めできるコックはホームセンターで簡単に買えます。
ニップルもL型があるので状況にあわせて購入します。
燃料の取り出し口は通常タンクの横につけますが、積層時は上図と同じようタンクをまわして取り付け部分を上向きにして作業します。
位置を決めたらグルーガンでしっかりとめます。
タルクパテを入れますが、指などで入れず 箸やバターナイフ等、 細かい作業ができる道具を使い、ほんとうに隅っこだけ必要最小限入れて多すぎるのはきれいにふき取ってガラスを貼っていきます。
ガラステープの幅はニップルの径と同じかより小さくカットして1枚ずつ積層していきます。
途中、大きな空気がどうしても抜けない。どうしごいてもだめだ!というときは
貼り方が悪いのであきらめてガラスを全部はがして捨てて貼りなおします。
確実な作業を徹底するならマット2枚貼って1回固め、バリをとってからもう一度決めた枚数を貼って仕上げにしますが、 それだけ時間がかかります。
右上のようにフランジ付だと仮止めもしやすく水密も保ちやすくなるので業者にフランジをロウ付けしてもらってもいいと思います。
完全硬化後、ニップルの内径より細いキリで穴をあけると油が通せるようになります。
えんぴつくらいの銅パイプにフランジをつければ エア抜きパイプの代用になり、純銅は指で曲げられるので Uの字に曲げた端を切ると潮や雨がかかってもタンク内に混ざりにくくできます。
大型の場合あふれた燃料が船内に落ちないところまでホースを配管します。
外径の大きい配管には下図のスルハルも使えます。
タンクを箱に組んでしまうと中に手は入らないのでふたをする前に穴あけコーキングを済ませてからふたをします、がメンテナンスは不可能です。
少しでもメンテナンスできるようにする方法は上にある バルブを取り付けることです。
しかし、これの欠点はタンクの壁から出っ張る金具が長くなることです。
右上樹脂製のスルハルは安価でどこかに引っかかっても叩いたり削るのも楽なのですが、燃料タンクにお勧めできません。
使ってもいいのは、水タンクや喫水より上につけてギャレーの排水等に使うときだけだと思ってください。 そして給油口。
デッキを貫通して取り付けるとゴムホースの配管とタンク本体にも大口径の金具が必要。
携行できるタンクにも取り付け可能ですが、大げさにならないよう気をつけて。
GASやDIESELの刻印入の商品もあります。
写真のスカッパーを開け閉めするハンドルは昔からあるもので最近のタイプに代用するのは難しいとおもいます。
上図のように大きなふたで穴が2つ。
ハンドルを海に落としたとか持ってくるのを忘れたときドライバー2本あればなんとかなります。 アメリカのヨットハーバーでオイル1滴でも水面に落とすと5万ドルだったかの罰金をとられると 30年くらい前、輸入艇の操舵席に貼ってるのを見たことがあります。
ママレモンは食器用洗剤です。
英語圏の人に、ちょっとそこのドライバー取ってや!と言っても通じません。
彼らにはスクリュードライバーと伝えなくてはいけません。
余談をもひとつ。
カクテルの名前でスクリュードライバーというのがあります。
オレンジジュースとウオッカをスクリュードライバーでかき混ぜて作った飲み物ですが、
終戦直後の物が無い時代には新鮮なオレンジを日本へ運搬するには限度があるので、
バヤリースのオレンジとウオッカをSnap-onのスクリュードライバーで混ぜるのが正式な作り方だそうです。
当時のスクリュードライバーは当然 マイナスです。