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2013年12月 7日 (土)

船の排気管をFRPで自作

昨年(2012)親父の要望でブリッジから真横へむき出しにしてた排気管を、

冷却水も混ぜてデッキ下を通りトランサムへ配管しました。

そのときまで知らなかったのですが、

法規が変わり排気管の素材として使えるのは ステンレスパイプやFRP製に限定され、

耐熱性塩ビパイプだと検査を受けられなくなると、 じゃあ今ついてる船は?まあ大丈夫。

修理交換のときに替えればよくて新造船では一切認められないそうです。

うちは結局中古のステンレスパイプを¥3,000くらいで買ってきて取り付け。

短所は重いのとFRP船体に完全接着しない。わずかながら電蝕の恐れ。切断切削は困難。

長所は冷却水が切れてもパイプ自体が焼けて溶けることはない。

その前に異常に気づくはず?。 規格品なので入手が容易などで、FRPはその逆です。

で、工作好きな方へ向けてFRPチューブの製作方法を伝授。

手間と型にお金が少々必要です。

外径はもちろんエンジンに合わせて必要な長さ分の塩ビパイプを用意(ネズミ色の水道用でOK)。ホムセンだと4mまでかも。

離型用ワックスを塗ったあと墨を1本入れます。

その墨通りマスキングテープを貼ってガラス越しでもよく見えるようにしておきます。

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エンジンとゴムホースでつなぎますが、塩ビの外径は仕上がり寸法と同じです。

このまま積層すると貼った枚数分だけ厚みが増え、ゴムホースに挿せなくなるでしょう。

それを防ぐには腰のある厚紙を塩ビの内側に貼り付けて型にすると、塩ビの厚み分外径を小さく作れます。

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作業台はパイプより長い角材を通して脚立2つに置き、

へそと同じくらいの高さにすると楽な作業ができると思います。

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厚紙で段つきにして離型処理をしたらマットを1枚だけ貼って硬化させます。

貼り方は下図のように端をつき合わせて、オーバーラップしない重ねない方がきれいな円になると思います。

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 上で硬化させます。と書きましたが、完全硬化させると面倒なことになるので要注意! ゲル化よりもう少し時間を置いて、手で触っても動かないけれどカッターナイフを入れるときれいに切れる時期があります。

この時期以外、早いと柔らかすぎて切れる硬さになっていない、遅いと刃が立たない。

時々ナイフを当てて確かめます。フリーハンドで切るので最初につけた墨やテープがガイドになります。

端から端までナイフで切れたら完全に硬化するまで待ちます。

固まったらへらで少しずつ起こし下図のように脱型していき、

塩ビパイプから完全に離して抜き取ります。

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塩ビパイプをきれいに掃除、出っ張ったごみなど付いてないか確認。

離型ワックスをザッと塗って先ほどマット1枚で固めて抜き取ったものを元に戻して つなぎめは上図黄色のようにマスキングテープを貼った位置へ止め

上から幅の狭いテープで塞ぐと樹脂が染み込んで塩ビにくっつくのが多少でも防げます。

で、パイプを戻して積層する前、塩ビにとめる位置は長さ方向を充分にずらします。

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ずらして積層する理由は、脱型するとき2人で引っ張ったくらいではビクともしません。

レバーブロックなど荷締め機やウィンチをかけて引っ張らないとまず抜けません。

そのために万力で締めたり穴をあけてフックをかける部分に余裕を持たせるのと 塩ビからずらした分長いパイプを作ることも可能になるからです。

(たとえ数センチでも足りなければ船尾まで届かない) 積層していくときは下図のように端を重ねないで継ぎ目は大きく反対方向までずらして貼ると 見た目もよく、

精神衛生上も安心感が大きくなります。

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ガラスマットは貼る前、一定幅に揃えてカットしておきます。

そうすると直径が段々大きくなるにつれて 外周も長くなるので端が重なることが少なくなるというより 重なりません。

ロービングクロスを間に1枚でも挟むと更に強度が上がります。

最後は数cm開くくらいなので、最後の仕上げに5cm幅くらいのマットで押さえます。

あとは固まるまで放置しますが、使ったガラス繊維と樹脂の重さを計算してみてください。

結構な目方を使っているでしょう。その重量が2つの脚立で両端をささえています。

脚立があるところに立ってパイプの中央が極端に垂れ下がっていないか見通してください。

大工用語で通りを見る。です。

たわんでたら撓んだままで完全硬化。あとで修正は不可能です。

真ん中をちょっと支えておくだけでいいのでなるべく広い面積で受けて支えましょう。  

それと、樹脂は足らんくらいに溶け!と教え込まれてきました。

それでも素手で触れば汚れるくらいはローラーに残ります。

ガラスマットの端切れを板の上などに置いて 塗れるだけ重ねたマットをFRPパイプの両サイドに貼り足しておきます。

空気はきれいに抜けてなくても大丈夫。

目的は万力で締めたりフックをかけて引っ張る部分が必ず壊れるからで 引っ張るところがなくなったらどうしようもありません。

最悪FRPで修理できますがw 塩ビパイプは精度の高い工業製品で、寸法のバラつきはありませんが、FRPの脱型には抜き勾配かテーパー処理が必須です。

混同しがちですが、勾配とテーパーは同意ではありません意味が大きく違います。

詳しくは検索してください。  

円形の型面を包み込んで密着してるFRPをめくってはがすのは不可能だから、 横方向に無理やりずらして離型しようとするので1回でも経験してみれば巨大な力がいると想像できるはずです。 抜けたときの衝撃や音を覚えておいてください。

その他注意点は、ゴムホースに差し込む部分の精度。仕上がりの外径寸法と真円度。

凹凸があれば低いところへマットを貼り増し(外側だけとは限りません、必要なら内側にも)

仕上がり厚みは5-7mmほど、高すぎる部分の修正削りで穴があくかもしれません。

これ以上目視では無理なところまでやり終えたときに完全硬化するまで放置していいと思います。   両端をザっと切りそろえて船体に合わせ、取り付ける前に接着箇所をもう一度サンディング 取り付け後、

水の流れが透けて見えるので全体の塗装はしないほうがいいでしょう。  

ホームセンターなどでダンボール製のパイプを売ってるので、それを利用してスタンチューブも自分で製作取り付け可能です。