船の排気管をFRPで自作!軽量・耐食性に優れたマリンエキゾースト製作方法
船舶の排気管(マリンエキゾースト)は、ステンレス製が一般的ですが、FRP製なら軽量で錆びる心配もなく、自作も可能です。
今回は実際に私が行った船の排気管をFRPで製作した方法を紹介します。
同じように漁船やプレジャーボートの修理・改造を考えている方の参考になれば幸いです。
ブリッジ横出しの排気を船尾へ変更
昨年(2012年)、親父の要望でブリッジ横へむき出しになっていた排気管を、
冷却水を混ぜたウェットエキゾーストとしてデッキ下を通し、トランサムから排気するよう配管しました。
そのとき初めて知ったのですが、
船舶検査の基準変更により、排気管として使用できる素材は
- ステンレス製
- FRP製
この2種類に限定されているそうです。
以前よく使われていた耐熱塩ビパイプでは、新造船の検査には通りません。
とはいえ、現在使用中の船まで交換義務があるわけではなく、修理や交換時に対応すれば問題ないとのことでした。
ステンレスとFRP排気管の比較
我が家では中古のステンレスパイプを約3,000円で購入して取り付けました。
ステンレス製のメリット
- 入手しやすい
- 耐熱性が非常に高い
- 冷却水が止まってもすぐには溶けない
- 規格品なので寸法が安定している
デメリット
- とにかく重い
- FRP船体へ完全接着できない
- わずかながら電蝕の可能性がある
- 切断・加工が大変
一方、FRP製は軽量で船体との相性も抜群ですが、自作には少々手間が掛かります。
今回は、そのFRP排気管の製作方法をご紹介します。
FRP排気管の型を作る
外径はエンジンに合わせ、
ホームセンターで販売されている灰色の水道用塩ビパイプを型として使用します。
長さは必要寸法より少し長めに準備しましょう。
まず離型ワックスを塗り、一直線に墨を入れます。
その墨に合わせてマスキングテープを貼っておくと、積層中でも位置が分かりやすくなります。
外径寸法を合わせる工夫
エンジン側とはゴムホースで接続します。
ところが、このままFRPを積層すると厚みが増え、ゴムホースへ差し込めなくなります。
そこで、型の内側へ腰のある厚紙を巻き付けます。
こうすると塩ビパイプの厚み分だけ仕上がり外径を小さくできるため、完成後もゴムホースへぴったり収まります。
積層作業
作業台はパイプより長い角材へ通し、脚立2台で支えると作業しやすくなります。
高さはちょうどおへその位置くらいがベストです。
厚紙で段差を作り、離型処理を終えたらガラスマットを1枚だけ貼り付けます。
このとき継ぎ目は重ねず、端を突き合わせるようにすると真円に近い仕上がりになります。
最初の脱型が重要
ここで一番のポイントがあります。
完全硬化させてはいけません。
ゲル化して少し経ち、
手で触っても動かない程度、
しかしカッターナイフならスッと切れるタイミングがあります。
この時間帯を逃さず、最初に入れておいた墨線に沿って切り込みを入れます。
柔らかすぎても切れませんし、硬くなり過ぎると刃が立ちません。
タイミングを見ながら何度か確認すると失敗しません。
完全硬化後、ヘラで少しずつ浮かせて塩ビパイプから抜き取ります。
再び型へ戻して本積層
型になったFRPを取り外したら、
塩ビパイプを掃除し、もう一度離型ワックスを塗布します。
FRPを元へ戻し、
切れ目はマスキングテープで固定。
さらに細いテープで隙間を塞いでおけば、樹脂が塩ビへ染み込むのをある程度防げます。
このとき重要なのは、
FRPと塩ビパイプの位置を長さ方向へずらして固定することです。
なぜ位置をずらすのか
FRPは型へ強烈に食い付きます。
2人で引っ張ってもまず抜けません。
レバーブロックやウインチを使って引き抜くことになります。
そのため、
万力で締めたりフックを掛けたりする余裕部分が必要になります。
さらに、塩ビより長いFRPパイプも製作できるので、船尾まであと数センチ届かないという失敗も防げます。
積層のコツ
積層するときも継ぎ目は同じ場所へ重ねず、
毎回反対側へずらしながら貼ります。
こうすると見た目もきれいで、強度的にも安心できます。
ガラスマットはあらかじめ一定幅へ切り揃えておくと、
直径が大きくなるにつれ自然と継ぎ目が合いやすくなります。
途中へロービングクロスを1枚挟めば、さらに強度アップ。
最後は5cm程度の細いマットで仕上げるときれいに収まります。
硬化中はパイプのたわみに注意
積層したFRPは想像以上に重量があります。
脚立2台だけで支えていると、中央がたわむことがあります。
大工さんの言う「通りを見る」要領で横から確認し、
少しでも下がっているようなら中央を広い面で軽く支えておきましょう。
完全硬化してしまうと修正はできません。
引き抜き用の補強も忘れずに
私は樹脂について、
「足りないくらいでちょうどいい。」
と教えられてきました。
それでもローラーには多少樹脂が残ります。
その余った樹脂で、ガラスマットの端切れをパイプ両端へ何枚か貼り足しておきます。
ここは空気が多少入っても問題ありません。
目的は脱型時に万力やフックを掛けるための補強です。
ここが壊れてしまうと、引き抜く方法がなくなります。
最悪FRPで補修できますが、最初から補強しておいた方が安心です。
脱型は想像以上の力が必要
塩ビパイプは寸法精度の高い工業製品ですが、
FRPの脱型には本来、抜き勾配やテーパーが必要です。
円筒形ではFRPが全面密着しているため、めくって剥がすことはできません。
横方向へ強引にずらして抜くことになるので、非常に大きな力が掛かります。
実際に一度経験すると、
抜けた瞬間の大きな音と衝撃に驚くはずです。
最終仕上げ
脱型後は、
ゴムホースが入る部分の外径と真円度を確認します。
低い部分はマットを貼り足し、
高い部分は慎重に削って調整します。
仕上がり厚みは約5〜7mmが目安です。
両端を切り揃え、
船体へ取り付ける前に接着面を再度サンディングしておきます。
取り付け後は冷却水の流れが透けて見えるので、私は全体塗装をせず、そのまま使用しています。
まとめ
FRP製の排気管は、市販品が少なく手間も掛かりますが、
軽量で腐食に強く、FRP船体との相性も抜群です。
製作には脱型や寸法管理など注意点も多いものの、一度コツを覚えてしまえばさまざまなFRPパイプ製作へ応用できます。
ホームセンターで販売されている紙製のダンボールパイプなどを利用すれば、スタンチューブなど他の船舶部品を自作することも十分可能です。
DIYで船をメンテナンスしたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。








