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2014年4月20日 (日)

正式版 船舶用埋め木の製作工程

二昔前の木工誌に載ってる埋め木のほとんどは

丸棒を打ち込んでのこぎりで切るのが多いんです。

洋の東西を問わず、木造船に使う埋め木の目的は、 ボルト穴等の完全防水のため木繊維の方向が90度違い、 多くの家具とは異質な製材と加工法です。 まずは木取りから

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一番上は普通の桟木、繊維の向きをよく見てください。

下の3本は長いのを切ったのではなく、下図の仮想線みたいに 幅広の板を細く横挽きしたもの。

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木目が真っ直ぐに通っているのは極まれで、 中には白線のように斜めに流れてたり。

それを矯正するためには、赤い線のように木目と直角になるよう切り、

あとはそのまま平行に切り続け、斜めになってきたら同じように矯正して切り直し。

柾目の木取りは柱材よりも容易に出来ます。

カンナは外径にみあった内丸カンナが必要。大は小を多少兼ねる。

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専用の削り台が必要で、自作しています。

木口削りに逆目は無いので裏金は引っ込めておきます。

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角材に丸のこで深めの溝を切り、90度のV字に溝を削ります。

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キワカンナが無ければノミで突いてペーパーがけでいいかも。

下図のカンナだと右手でしか握れません。 反対向きのキワカンナも売っています。

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削り台に横切りで溝を切り薄い板を入れて材料の当て止めとします。

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削り台の修繕方法 当て止めは新しい溝を切りなおすか、溝を広げて厚めの板を差し換え。

V字溝は、台の上っ面を削り、溝を削り直すだけですが、限界と寿命があります。

溝の固さは西の方言で、あもなし、かとなし。

(ゆるすぎず堅すぎず) 指でグッと押して抜き差しできる硬さにすれば 槌や接着が不要。

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削り台に乗せてまずは平かんなで六角形、えんぴつ状に削り、 次に内丸かんなで仕上げていきます。

削り台も動かないように固定しますが、頭を出した釘2本でも大丈夫。

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綺麗な円に削れてるか度々目視で確認。 直径はノギスで測り、削りすぎに注意。

8mmの埋め木は8.5mmに仕上げ。それ以下まで削るとすぐ抜ける埋め木になります。

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漁船のレール取り付けのボルト穴にはこれくらいの材料がいります。

(ボルトの六角より大きいレンチの外径が入る大きさが必要)

100円ライターと見比べれば大きさが想像できると思います。

で、ヒノキなど大きな節が結構あって 上図の場合埋め木には不都合。

どうしても材料がないときは赤い線のところでバッサリ落として使います。

節をつけたまま削ると 節の無いほうはよく削れるので細くなり 節のほうは削れにくいので箸のように先細りになり うっかりしてると 

細くなりすぎて埋め木として使えなくなる事が多いです。  

それと大事なことは、埋め木を作るために板を購入するのではなく、

他の工作で10cm幅の板を切った余り 端材5cm-15cmを捨てずにストックしておくのです。

いくら安い店へ行っても1本90cmから売っています。