CB750F タコメーターと思い出
今から40年以上前。
私の考え方に大きな影響を与えてくれた人から譲り受けた、CB750Fのタコメーターです。
当時は大型二輪免許が「限定解除」の時代。
合格率は司法試験並みとも言われ、実際には「いかに合格させないか」という試験だったように思います。
教習所で大型二輪が取れる今とは違い、大型バイクは憧れの存在。
免許を持っているだけで一目置かれる、そんな時代でした。
このタコメーターを譲ってくれたのは、某呉では知らない人がいないほど有名だったMちゃん。
豪快で型破りな人でしたが、不思議と人を惹きつける魅力がありました。
ある日遊びに行くと、
「廃車にして田舎へ帰るけぇ、バラして解体屋へ部品で売るんよ。」
と言います。
「キャブ、ちょうだい?」
「キャブはもう売ったあと。」
「じゃあメーターは?」
「売りもんにならんかったけぇ、やるよ。」
「ええっ、キャブが欲しかったんよ。」
「そうなんか…。」
今となっては笑い話ですが、当時の私は本気でキャブレターが欲しかったので、少し複雑な気持ちでした。
あの頃は映画『MAD MAX』の影響も大きく、冒頭に登場した覆面白バイのようなマシン(確かZ1だったと思います)に胸を躍らせていました。
メーターの針の動きを見ながら、
「これ、200km/hは軽く超えとるじゃろう。」
などと真剣に語り合っていたものです。
まだインターネットもなく、雑誌や映画のワンシーンだけが情報源。
それだけに想像を膨らませる楽しさがありました。
そして、当時流行していたのがMAXターン。
夜になると広い駐車場には、円を描くタイヤ痕がいくつも残り、あちこちでタイヤの焦げる匂いが漂っていました。
今では考えられませんが、それも昭和という時代の風景でした。
国内仕様でありながら220km/hまで刻まれたスピードメーターを見るだけでも、メーカーの「夢」を感じさせてくれます。
当時ハマっていたパチンコは、「フィーバー」や「ブラボー」。
メーターのリセットつまみを回して積算距離を「777」に合わせ、
何も知らない従兄弟に見せると、
「えっ、777じゃ!」
と本気で驚いていました。
もちろん種明かしをすると、
「なんじゃ、それ。」
と肩を落としてがっかり。
その落胆した表情が、今でも忘れられません。
40年以上の歳月が流れ、メッキにはサビが浮き、
ゴム製ダンパーもすっかりへたってしまいました。
それでも、このメーターは私にとって単なる部品ではありません。
青春時代の思い出が詰まった、大切な宝物です。
会社では変わり者、異端児と言われていたMちゃん。
でも仕事を離れれば、ごく普通の常識人でした。
剣道は有段者。
バイクはエキゾーストパイプを擦りすぎて穴が開き、レーシングすると時々白煙を上げるほど乗り込んでいました。
昭和のライダーらしい、豪快で自由な生き方だったと思います。
あれからずいぶん年月が経ちました。
今もどこかで元気に過ごされているでしょうか。
このタコメーターを見るたび、バイクに夢中だった昭和の熱気と、Mちゃんのことを思い出します。





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